ざしわらの家

日々思ったことを書き連ねる雑記ブログ。元ニート。

走幅跳の空中動作で跳躍距離は伸びるのか? ~空中動作と着地の関係性~

1カ月ほど前のことです。先輩や高校生と話をしている中で、空中動作の話題になりました。

そこで、僕が高校生に「ところで、どうして空中動作をするか分かる?」と尋ねてみたんです。別にいじわるしようとしたわけではありません。純粋に、この年代の子は分かっているのかな?と疑問に感じたからです。案の定と言いますか、その子は全然わかっていませんでした。

 

 

ずばり、何故空中動作を行うのかを言ってしまうと、「有利な・適切な着地姿勢をとるため」です。着地の準備動作です。

 

始めて日の浅い中高生の中には、空中動作を行うことで跳躍距離が伸びるかのように勘違いしている人がいますが、どれだけ空中で頑張ったところで、飛距離自体は変わりません。変わるのは姿勢です。

 

高校までに理科とか物理とかを勉強した人なら分かるかと思いますが、何やらこの世界にはエネルギー保存の法則というものがあるようです。走幅跳という運動も、その法則から漏れることはありません。

 

基本的に、走り幅跳びは、助走で得た水平方向に働いているエネルギーを、踏切で垂直方向に転換する運動です。

どれだけ空中動作を頑張ろうと、空中では、新たにエネルギーを得ることができません。まあ僕も物理の専門家ではないので、厳密な説明は出来ませんが、その辺のところは感覚的にご理解頂けると思います。

 

中学生や高校生で走り幅跳びを始めると、どうしても見た目の派手さを重視するばかり、空中動作に目がいってしまいます。

日々の練習でも、格好が良い空中動作をマスターしようと、懸命に腕を振り回し、脚を回転させます。空中動作の意味を理解していれば良いのですが、そうでない人が大半ながします。

 

ちなみに、空中動作が適切な着地姿勢に導くためのものであることは、前述したとおりですが、何故そのようなことになるのかということも付言しておきます。

空中動作で腕を回転させたり、体をそらせたりするのは、つまり、踏切の起こし回転で生じた前方回転力を打ち消してやるためです。

 

踏切では、多少後傾した姿勢から体を起こすような動きが出てきます。そうすると、上体を後ろから前に回転させるエネルギーが生じるのです。

これは体を垂直方向に引き上げるために有効なエネルギーなのですが、これを何もせずにそのままにしておくと、空中でどんどん上体が前に回転してしまい、極端に言うと頭から砂場に突っ込むことになってしまいます(ちなみに、現在は一回転して着地する回転跳は禁止されています)。

流石に、着地で距離を損してしまうのは明らかでしょう。

 

 

しかし、空中で適切に手足を回転等させただけでは、適切な着地姿勢を取ることは出来ません。

 

先日、大学生の試合を見に行ってきました。

話の流れ上、見たのは当然、走幅跳です。皆大学生以上ということで、そこそこ以上の記録を持っています。

 

試技に入る前から、ドリルなどで丹念に動き創りをしているし、実際にその動きが跳躍に出ていることもあります。しかしその注意している部分は、助走のスタート局面、もしくは踏切の瞬間を意識したものです。

 

そして、そうした意識を持ってドリルなどを行っている人の、少なくない割合の人が、着地動作に問題を抱えているようでした。

 

具体的には、踏切から空中動作に移行していく中で、目線が着地地点に移ってしまい、結果として状態が被った着地姿勢になっていました。

これの何が問題かというと、上体が被ることによって、腰が後ろに残ってしまい、脚を前方に投げ出すことができなくなります。着地で距離を損してしまうのです。

 

この場合、踏切の瞬間は前方(意識的には多少上を見る感じ)に視線が向いていますので、これを維持することが大切です。人間の身体は頭の向きに大きな影響を受けますので、この頭の位置を適切な状態にしておくことで、適切な着地姿勢に結び付けることが可能となります。

 

空中姿勢とは、手足をバタバタさせたり、そったりすることだけを指すものではありません。当然に、その時の頭の位置、目線の適切な角度なども含むものです。

 

僕が高校生や大学生にアドバイスを送る際には、この目線に注意することが多いです。

目線であれば、運動能力などに関係なく修正できるものですし、記録などへの貢献する程度が大きいと思われるからです。

 

 

空中動作って難しいです。

やらなければ上手く着地できないですし、逆にそこばかり気を付けても、他がおろそかになります。

中高生の段階では、空中動作に目が向きがちなのに対し、大学生以上になると空中動作やその時の目線を軽視しがちです。

 

大切なのは、自分が何のためにその動作を行っているのかを適切に理解することです。

その理解を前提に、自分の跳躍、助走のスタートから着地し、ピットから離れるその瞬間までの間のどの段階に問題があり、どうすれば今以上に記録を向上させることができるのか探究することです。

その上で、空中動作・着地に問題があるのであれば、積極的に修正の方向に向かうべきです。

 

ま、なにやら偉そうなことを述べてみましたが、実際の現場で、そこそこ程度でも、上手く踏切から着地までの姿勢をコントロールできている人はあまりいませんので、今一度自分の動きを再確認してみても良いのではないかと思います。

 

ではでは。