カロリーベースの食料自給率って、廃棄した分のカロリーも含めてるの!?
最近、農業についても勉強しています。
ちなみに、まじめなことを書いているとまるで学生のようですが、現在ニートです。
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
- 作者: 浅川芳裕
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/02/19
- メディア: 新書
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TPPへの参加の是非が議論になった(まだなっている?)ように、農業に関する関心が高まっているようです。日本の農業といえば、零細農家が多くて競争力に乏しいというイメージがありますが、そんなイメージを否定しようとしているのが本書。
正直、あまりにも否定の連続、しかも悪いのはすべて農水省という書き方をしている(少なくとも僕はそういう印象を受けました)のが頂けないなぁ、と感じました。
特定の敵をつくると分かりやすいということもありますが、それによって本質から外れてしまうことも往々にしてあるものです。
その意味で、もう少し冷静に客観的に、農水省だけではなくて、農家には、JAには、政治には、消費者(国民)には問題はないのかといった複数の視点から書いて下さるとより説得力が増したのではないでしょうか。
タイトルもいかにも釣りって感じですし(笑)
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それでも、面白いと思う点はいくつかありました。
特に自給率という語がタイトルに入っていることからも分かるように、自給率のからくりについては、結構詳しく書かれています。
よく、日本の食料自給率はカロリーベースで計算しているてんが議論の対象になります。
諸外国ではそんなことをしていないという話、いやいや、最終的に食糧安全保障の観点から考えるときにはカロリーベースで考えないと、いざというときに国民が死んじゃうでしょ!という話に終始する訳です。
この話に意味がないとは思いませんが、かといってこればかり話していても仕方がないのではないかと思います。
ていうか、カロリーベースってそもそもどうやって計算してるの!?という疑問を、僕は結構前から持っていました。
だって、実際に摂取している量と基礎代謝に必要な熱量は全然違うし、ちょっぴり運動している人が必要な熱量も全然違うじゃないですか。だから、カロリーベースってどの基準を使っているの?と思ったんです。
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この本によると、自給率を計算する際に分母となるのは、流通に回っているものの供給カロリーだということです。
私たちが実際に摂取しているカロリーは約1900キロカロリー/日。それに対して、流通しているのは2500キロカロリー/日。つまり間に600キロカロリーほどの差があることが分かります。
それではその600キロカロリーはどこに行ってしまったのか、という話になりますよね。この600の多くは、廃棄されているらしいです。確かに、コンビニやらスーパーやらでは、たくさんの廃棄が出てますよね。農水省が公表しているカロリーベースの自給率の分母には、この廃棄品のカロリーも含まれているらしいのです。
だから、この廃棄がなければ、実は結構、日本人が最低限必要なカロリーベースの自給率って高くなるらしいです。この点については、「へー!」って思いました。
また、日本の農業をカロリーベース以外で考えると、全く違ったイメージになるという点についても、今さらながら納得させられるものでした。
日本の農業生産額は約8兆円で、世界第8位だそうです。また、日本の場合野菜などは殆ど自給できているとのことで、家畜の飼料(外国産資料100%で育てられた牛は日本的なカロリーベースでは自給率にカウントされない)とか、トウモロコシや大豆、小麦などのカロリーの高い品をたくさん輸入していることが、自給率を引き下げる大きな要因となっているそうです。
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農地集約、減反政策の是非、JAや農水省不要論など、農業には議論の対象となるものが多いと思います。
なんとなくの感情論ではなく、それなりに勉強したうえで、自分のアタマで考えたいものですね(←どこかで聞いたことのあるフレーズ)。
ではでは。