ざしわらの家

日々思ったことを書き連ねる雑記ブログ。元ニート。

競技しかできない選手の明日は暗い

読んだ。

 

東京五輪は、アスリートたちを救うか
http://toyokeizai.net/articles/-/19736

 

陸上競技を事例として、大学トップ選手の就職の厳しさを書いたものです。

彼らは大学一になるほどの実績を持っているにもかかわらず、容易に就職できません。僕の周りにも、日本選手権入賞レベルでも実業団で競技することができず、フリーターをしながら競技している人がいました。現実は厳しいのです。

 

なぜこのようなことが起こるのかと言えば、企業は選手に対して広告価値を求めているからです。

 

この広告価値の高い種目の代表が、駅伝です。箱根駅伝に代表されるように、日本人は駅伝好きです。一度駅伝が始まると、数時間にわたってテレビを見続けます。テレビに映ること≒企業の広告になること、となるため企業にとって駅伝は広告的価値が高いのです。しかも頑張ってる感が視聴者に好印象を与えますし。

 

このような背景があるため、それほどレベルが高くなくとも、駅伝の選手として活躍できる程度の実力があれば、実業団で競技を続けることができます。同じ程度の実力でも、長距離以外の種目であればあり得ないことです。

 

このように、企業は選手に対して広告価値を求めています。

そのため、企業の宣伝に貢献するような(もしくは企業イメージを高めるのに貢献するような)種目の選手か、種目としてはマイナーだけど、個人として世界に名が知れるほど強い選手だけが、実業団で競技を続けることができます。

 

 

スポーツ選手の就職活動や、セカンドキャリアについては、昔からいろいろと議論されています。確かに難しい問題です。

 

私が思うに、広告価値のみで選手を判断しないでほしいと言って、企業の側のマインドを変えようとするだけでは、不十分です。むしろ、選手の側が広告価値以外のものをアピールすべきだと思うのです。

 

本気で競技している学生アスリートの多くは、競技に命を懸けるほど頑張っています。まさに朝起きてから、夜寝るまで、というか睡眠すらもトレーニングの一環と捉え、一日中強くなることを考えています。

他方、競技以外のことに関しては、驚くほど無頓着な場合も少なくはありません。勉強もほとんどせず、高校生の頃よりも知的レベルが低下している人も多いでしょう。このような人に対して、企業が広告価値以外の評価を出来るでしょうか?

 

これで選手が競技者としてのキャリアを終えると同時に雇用契約を解除すると、「選手を使い捨てにするな!」との批判が出ます。これでは雇うのに慎重になっても仕方がありません。

選手に競技力以外の力、すなわち一般企業での活躍が期待される能力が備わっていれば、その後も雇用し続けることでしょう。

  

 

じゃあどんな力を持っていればよいのでしょう?

スポーツの価値とは何か、スポーツは青少年の育成に貢献するかといった話があるくらいですから、彼ら自身がそれを身につけているとアピールするべきです。

一般の学生と同等レベルの学力を有しているか、筋道立てて話ができるか、英語はできるか、といった部分は、一般の就職活動においては特に重視される部分だと思います(学力は怪しいけど)。

 

ちなみに、アメリカなんかだと、トップ選手が競技場に参考書を持ち込んでいて、練習開始直前まで勉強している光景も珍しくはないそうですよ。実際、彼らの中にはセカンドキャリアとして医者や弁護士になる人もいますからね。日本だとなかなか考えづらいことです。

 

 

これらを全く満たさないままに「俺はスポーツ頑張ったのに……」と言うのは、あまり褒められたことではないでしょう。こういう人が世に増えると、ますます「脳筋(脳みそまで筋肉でできているという意味)」と言われてしまいます。あくまで、スポーツ以外のこともできる人間であることが必要です。

 

こういった問題を選手のせいだけにすることもできません。

特に大学で選手を預かっている指導者は、競技以外の面についてもきちんとサポートしてあげる必要があります。大学の指導者の中には、グラウンドで競技の指導だけを行っている人も多いようですが、それでは後々選手を路頭に迷わせてしまう可能性が高まります。

 

社会全体としても、スポーツ以外の面でも立派な人であれば、様々な支援の仕方を考えられることでしょう。

日本代表クラスで活躍できる選手であれば、半日勤務なんていう雇用形態もあります。また、マラソンの川内選手のように学校事務という手もあります。彼の場合、午前中は練習しているそうですね。こういったことなら行政の側でも手を貸しやすいのではないでしょうか。

 

 

 

選手はスポーツ以外でもアピールできるように頑張りましょう。

自分への戒めを込めて……(僕は選手として通用しないのだからなおさらね)。