ざしわらの家

日々思ったことを書き連ねる雑記ブログ。元ニート。

一票の格差是正が日本の社会構造を変える。

最近、相次いで一票の格差に関する違憲判決が出ていますね。

やはり一人が持つ一票の価値が2人分以上になる場合が存在するなんてのはおかしなことだ!ということなのでしょう。うん、確かにおかしい。

 

その一方で、政治に関心のない人が多い日本では、「ま、いいか」みたいに考えている人も少なくはないようです。どうせ自分たちが投票したところで世の中なんて変わらないし、それだったら投票なんか行かずに家でゴロゴロしていたい。そんな感じでしょうか。

 

でも、僕は思うのです。実は一票の格差を是正することで、単に個々人の不平等を解消するだけにとどまらず、日本の社会構造を根本から変えられる可能性がある、と。

 

 

一票の格差を縮小することで社会構造を変化させることができると言うのには、理由があります。

その理由を考える際には、今一度、日本の社会構造を確認する必要があります。

現在、日本の人口構成は明らかに歪んでいます。その歪みは2種類に分けられます。第一に、世代間の歪み。第二に、都市と地方の歪みです。

 

言わずもがな、日本では急速に少子高齢化が進んでおり、高齢者の割合が増加し続けるとともに、生まれる子供の数が減っています。合計特殊出生率は1.3程度にとどまっていることから、今後もこの傾向は持続すると思われます。つまり、今後も高齢者が増え続け、少子化が進展していくということです。

 

また、都市の人口に比べ、地方の人口が少ないのも周知の事実です。しかも地方の若者は年に流出しており、過疎化と都市への人口集中に拍車がかかっている状況です。平たく言えば、地方に残っているのは高齢者ばかり。

 

併せて考えると、「日本では高齢者の割合が増え続けていて、しかも地方にたくさんいる」ということです。

 

ここで一票の格差との関係で「??」と思いませんか?

一票の価値が高いのは、基本的には地方部です。そして地方部に住んでいる人の多くは高齢者です。しかもしかも!高齢者の投票率は高い・・・・・・。

このことから、日本の地方に住む高齢者は、政治の世界において、一見してはわからない確かな力を持っていると考えられるのです。

 

 

ここで、農業を例にして考えてみます。

農業が日本のGDPに占める割合は、わずか3%程度に過ぎません。従事している人の数も非常に少ないものです。それでも政治家は農業を保護したがりますし、農業票の獲得を重視します。

 

農業票なんて非常に少ないはずなのにどうして?と思いませんか。

一つには、農協を中心とした組織票が見込めることが挙げられるでしょう。

そしてもう一つが、「地方に偏在する多数の、投票に来てくれる高齢者が経営する零細農家」の票の価値が、一票の格差との関係で、非常に高いということが挙げられると思うのです。

多分、本来的に人口に占める割合が少ないはずの零細農家でも、一票の格差と人口構成の歪みが原因で、下手をすると都市部の若者よりの10倍くらい、政治的に重要なアクターになっていることが予想されます。日本の社会構造的に、彼らの発言力は強まり、政治家たちは無視することができません。結果として彼らを保護し、補助金などを与える方向に動くのでしょう。

 

私は、この状況が日本の農業が国際競争力をつけられない原因の一つだと思っています。

零細農家が多数を占める日本の農業の構造を変化させるために、現在ではのうちの集約などが進められようとしていますが、どうにも思うように進んでいないようです。理由は複数考えられますが、そのひとつとして、零細農家票が失われては困るという政治の裏事情が挙げられるのではないかと推測しています。

 

 

もしここで、一票の格差が縮小されたらどうなるでしょう?

ざっくりと大まかなところですが、地方票の価値が下がります。人口が多い都市の人々が持つ票の価値が上がります(というより元に戻る)。こうすることによって、若干ではありますが、高齢者自体の存在感が減じられます。

政治家のマインドも、先に挙げた農業(特に零細)などを何が何でも保護しなければならないとはならなくなるでしょう。農地の集約を強力に推し進めることができます。これにより、農業再編が可能になります。

 

現状では、年金をはじめとする社会保障に手をつけられない感じですが、一票の格差解消によって地方に住む高齢者の意見を取り入れ「過ぎ」ないことが可能になるのです。てか、今のままで社会保障やってたら破綻しそうってことはみんなわかってるはずですよね?? 

 

それに加えて、ネット投票や選挙可能年齢の引き下げなどで若者の意見を取り入れやすくなれば・・・・・・、結構変わるんじゃない!?

全国にフリーターとニート合計で250万人以上いるんですよ。全人口の2.5%くらいです。農業票と同じくらいの規模があるんです。この人たちの保護や自立に、もう少しお金を振り向けることだった可能になります。

ま、個人的にはそこまでしなくても、とは思っていますが。誰かフリーターやニート向けの市場を作って海外にも輸出したらいいのに、とか思ってますが。

また、18歳で仕事し始める人たちに「君らは成人してないから政治的価値を持つべきではない」とかいうのは横暴です。彼らの意見も聞きましょう。

 

一票の格差を是正することは、単に個々人の政治的価値を是正するだけにとどまらないものです。これまで説明したように、社会のあり方そのものを変えられるかもしれないのです。

ネット投票は解禁されますし、それに加えて格差是正がなされるということは・・・・・・今から楽しみです!

 

 

ざしわらは農業に対して否定的な意見を持っているわけではありません。一定程度の保護は重要です。日本が効率的な農業を営んでも、スケール的に諸外国に太刀打ちできないであろうことは、多くの識者が論じているところです。食料安全保障などの観点からも、農業の保護・育成は重要だと考えています。念のため。